恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「改めて見てみると留金が緩んでたから、あぁそれで湖都は時計を落としたまま忘れたんだと思って、早速修理に出した。針も止まってたから、ついでにそれも直してもらった。ぶっちゃけ言うと、いつ止まってたのかすら知らなかったが・・・。ホントは、針は止まったままの方が良かったのかもしれないと思ったんだ」
「・・え?それは、どうして・・」
「う~ん、なんでかなぁ・・・。俺たちの間にある空白の時間も止まったままになると思ったから?たぶん。って言った俺自身がよく分かってねぇな」

ハハッと笑った岸川さんは「とにかく、もう直したから俺のたわごとは気にしなくていいよ」と言った。

「・・・岸川さん」
「なに」
「ありがとうございました。今更、ですけど・・。それから、ごめんなさい。ホント、迷惑をかけてしまって。あの・・母に渡しておこうとは思わなかったんですか?腕時計」

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