恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
優しい心に包まれて、心の傷が癒えていく
「そんなに気になってたなら、俺に聞きに来れば良かったじゃないか。てか、朝になってサッサと帰らなきゃ良かったんだよ。ったくー。そんなに俺と“一緒に過ごした”ことが嫌だったのか?」と聞かれた私は、すぐに顔を左右にふって否定した。

「そ、ぅいうこと、じゃなくて・・」
「10年」
「はぃ?」

私は、岸川さんの胸板あたりのシャツを握りしめたまま、顔を上げて彼を見た。

「湖都。おまえは10年も心が傷ついたままだったんだぞ」
「ぁ・・・」

・・・心が傷ついたままだった、なんて・・・そんな風に考えたことはなかった―――。

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