恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
母に対してもそういう風にふるまっていると、母からは聞いていた。
岸川さんに対しても。
彼の物を壊したとか――それもわざとだなんて――そんなことを聞いたのは、今回が初めてだ。

「そうだな。翔くんが模型をわざと壊したとき、俺は怒った。って言っても、怒鳴ったり叩いたりはしてないよ」
「それは分かってます」
「俺が翔くんに怒ったのは、他人の物を――自分の物でも当てはまることだが――わざと壊したからだ。それはいけない。そして翔くん自身もそれはいけないことだと知ってるのに、そうしたからだ」
「そうですね。私がそこにいたら、私も同じ理由で翔を叱ってるはずです」と言いきった私に、岸川さんは笑顔でコクンと頷いた。

「そしたら翔くんは泣きだした。ワンワン泣きじゃくりながら、“パパは怒らないもん!”って言われちまった」
「そんな・・・」
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