恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
姉の言った「サカヒナ」とは、姉の同期の榊日菜(さかき・ひな)さんのことだ。
日菜さんと姉は、漢字は一文字違うけど、同じ読み方の同じ名前ということもあって、結構仲良くしているらしい。
私も日菜さんには1度会ったことがある。
姉同様、とても気さくで優しい、美人なお姉さんといった感じの人だった。

「ねぇ。お姉ちゃんも行くんでしょ?」
「私は今晩、悟(さとる)さんとデ・エ・ト・なの。だから行かないわよ」
「えーっ!?そ、そんな・・見ず知らずの場所に私一人で飛び込んで来いと、お姉ちゃんは言うの!?」
「だから、サカヒナがいるって言ってるでしょ?大丈夫だって。場所は居酒屋だし。テキトーに食べつつ、今回は“あぁ合コンってこういうものなのね”とお勉強すればいいの!何事も経験ありきよっ!ほらこっち向いて。最後の準備に取りかかるから」と言った姉が、私の顎あたりを持って、自分の方に私を向かせた。

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