初恋はチョコの味
第9章 お祝い


翌週。




今日の授業が終わり、

先生は
私に白いパッケージの
板チョコをくれた。


「あ、ありがとうございます。
え、いいんですか?」


少し驚きながら聞いた。



「先週の100点の
お祝いの分だから。

さすがにコイツは
いつもより
でかいからさ、
周りにバレないように
二人の秘密、な?」


秘密…。


「秘密、ですね?…はい。」


100点だけで、
わざわざ
お祝いなんていいのに。


でも…嬉しいな。
 

周りには
秘密ってことは

これは…
特別ってことだよね?きっと。










 
「あ、いけないんだ。
俺見ちゃったよー?」

と、突然

廊下から現れたのは

髪にふわふわの
ウェーブがかかっていて
メガネをかけた
ちょっとチャラい雰囲気の
桜井先生だった。



「いやいやいやいや、
気のせいじゃないですかね?」

とっさに
否定する後藤先生。


「あやしーな(笑)」

疑うように
桜井先生が

私と先生をみている。



「別にあやしくないですから。
なっ?」


「はい。何にもないですよ?」


と、私と先生は 
アイコンタクトをしながら
必死に誤魔化した。



「ふーん?そうか。
じゃあ、見間違いだったか。」

そう言って
桜井先生は、去っていった。










「ふう。危なかったな。
なんとか誤魔化せたな(笑)」


「そうみたいですね」


「じゃあ、また来週な。」

と、言って 

先生は笑顔で
私の頭をポンポンした。


「は、はい。また、来週。」


驚きながらも
言葉を返し、
教室を急いで出た。


急いで出ないと
驚きと嬉しさを
隠せそうになかった。


先生と私だけの 
秘密のチョコレート。

それに

別れ際の
先生の笑顔と頭ポンポン。


今日の先生には
ドキドキさせられっぱなし…。


来週から 
一体どんな顔したらいいのか…


先生のことを

意識しないで
いるなんて…


できるかな…?


そんなことを
考えていた。






< 58 / 114 >

この作品をシェア

pagetop