浮気してるくせに平然な彼
不満そうな表情をする石田達に、困った顔で笑ってみる。
そんな俺を見て、心が折れたのか『………分かった』と、渋々納得してくれた。
「でも、絶対陸と二人にだけはするなよ」
「………分かった。でも、堀内一人で絶対つまんないじゃん………」
“分かった”と言いながらも動こうとしない石田と松本の背中を、早く行けと言わんばかりにポンと叩く。
間も無くしてバスが動き出し、30分後に出発する展望台行きのバスに一人で乗り込む。
一人でスキーなんて行くワケないし。
石田と松本の事を信用してないワケじゃないけど、一人、ココで待ってるほど俺も出来たヤツじゃない。
石田にも松本にも『展望台に行く』事は伝えず、一人でひっそりと後を追いかける。
………陸と何を話すのか気になって仕方がない。