溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「とにかくもう、後には引けないから」

母を残して戻ると、個室の外まで父の声が聞こえていた。

「おまえは本当に、和奏を幸せにするんだろうな」

「……」

君嶋課長がなんと言っているかまでは聞こえない。
ふすまに手をかけたものの、開けていいのか躊躇した。

「和奏を不幸にしたら、殴り飛ばすからな」

「……」

父はいつものように、自分の意に沿わない私に怒っているんだと思っていた。
でも、本当は酷く心配してたんだ。

ふすまを開けると父と目があった。
しかしすぐに決まり悪そうに目を逸らして父はお猪口を口に運んだ。

初めて、父の気持ちを知った。
もしかしたらいままでだって、私を心配してたのかもしれない。
父は素直にそう言えないだけで。
そう気づけただけ、この結婚はしてよかったと思えた。
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