溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
控え室でひとり、鏡に映る自分を見ると不思議な気分になってきた。

「なにやってるんだろ、私」

真っ白のドレスにきれいに結い上げられた髪、それに長いベールをつけた自分はどこか、現実味がない。

君嶋課長は本当に私でよかったんだろうか。
あの日の、徹夜明けのナチュラルハイのせいだと後悔したりしないんだろうか。

それに私だって、君嶋課長のことをよく知らない。
しばらく一緒に生活しているが、それでもやっぱりよくわからなかった。

「和奏」

振り返るとブラックのショートフロックコートを着た君嶋課長が無表情に立っていた。
黒のジャケットに黒のパンツ、中に着たグレーのベストと同じくグレーのアスコットタイが、端正な君嶋課長の顔を引き立てている。

――いや。
引き立てすぎてより、冷たく見える。
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