君を想って
翌週から遥と会うようになった。

週末のこの時間が僕にとっての楽しみになっていった。

そして遥と出会って二ヶ月が過ぎた頃、遥から提案があった。

「誠一さん、来週二人で出かけませんか?」

「いいけど、どこにいくの?」
僕が聞くと、
「秘密です。来週までのお楽しみです」
といたずらをする子供のような顔でそう言った。

次の週、朝早い時間に公園にいくと遥は先に来ていた。

遥が僕に気づくと彼女はかけよってきて僕に新幹線のチケットを渡してきた。

「どこにいくの?」
僕が聞くと遥は
「日帰り旅行です。広島に行きましょう」

「えっ・・・うん。楽しみだね。」

「あの、もしかして嫌でした?」
遥は不安そうに聞いてきた。

「そんなことないよ。ただ急だったから驚いただけ」
僕は無理に笑顔を作ってそう言った。

遥との旅行は本心でとても楽しみだったが広島は……明希と行った旅行先と同じだった。

二度目の広島もやっぱり楽しかった。

家の近くの公園にたどり着いたころにはもう夜中になっていて別れ際、
「誠一さん、今日はありがとう。楽しかった」
笑顔の遥に僕は少し罪悪感を覚えた。

たぶんそれは無意識に僕が遥を通して明希を見ているからだ。

それでも、明希じゃないとわかっていても僕は明希と一緒にいたかった。

この日から二人で出かけることは多くなった。
二人で映画を見に行ったり、遊園地にも行った。そして秋、僕は遥に告白した。

「もしよかったら僕と付き合ってください」

遥は「私も誠一さんが好き」と言ってくれた。

遥と付き合うようになって毎日が楽しかった。
時間はあっという間に過ぎていった。

そしてクリスマス仕事が終わり前日に遊びに行く約束をしていたので僕は集合場所のいつも公園へ行った。

でも、遥は公園にはいなかった。

携帯で連絡をとっても彼女から返信は返ってこなかった。

三時間待っても遥は来なかったので僕は家に帰ることにした。
< 7 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop