11cmのバーテンダー
ノリと勢いは若気の至り

中学時代

平凡は嫌。
皆、何が楽しいの?


そう思い出したのは中学2年生の頃だった。
小学生から続けている合唱部に入っていた
増岡 蛍は顧問の先生と折り合いが悪かった。
自分らしく歌いたいと思う蛍は
先生に言われたとおりに歌う事にストレスを感じていた。

そんな憂さ晴らしに仲のいい優美と
少し遅い時間まで遊ぶ事に
他の人よりも大人になったような
しょうもない優越感に浸っていた。

そんな優越感ですめばよかったが
どんどんエスカレートしていったのは言うまでもない。
タバコ、酒、窃盗、深夜徘徊。
毎日のように警察に追い回されていた。
そんな日常は新しい事だらけで
蛍は毎日が楽しかった。
同じような悪い仲間と毎日どんちゃん騒ぎ。
学校になんか行かない。勉強なんかしない。
ずっと皆で一緒にいるんだ
と思っているうちに中学3年生の冬になっていた。

勿論、受験勉強なんかしていない。
「どうせちょろいっしょ」
と笑う蛍に優美は
「そだね、同じ高校に行ければいっか」
なんて呑気な返事をした。

そんなに甘くないことを2人は知らず
当然の如く、受験は見事不合格。
失敗してから焦りだした2人は
滑り止めを受けるが不合格に終わり
蛍は、最後の手段で私立高校を受験。
優美は、通信高校を受験し、2人とも合格した。


「なんとか春から高校生だね!」
「同じ高校じゃないけどね」
「まあ、頑張るしかない」
「私なんか通信。絶対続かないでしょ(笑)」

と、2人は笑っていた。

でも蛍はその時に心に決めていたことがあった。

「でもね、私、留年したらやめる。
お母さん、私立行くなら働いてって言ってた。
それくらい学費かかることわかってるから
今まで散々遊んで迷惑かけた分、3年くらい頑張るよ」
「おぉ!そんなら、私もやれるとこまで頑張る!」
と優美は軽い口約束のようなつもりだったのだろう。

蛍は笑っていなかった。
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