天使は金の瞳で毒を盛る
「…そう、でも、今夜くらい付き合って。それならいい?」

いや、もう帰りたいです、そう言いたい。ううん、言わなきゃ。断るの苦手なんて言ってられないよ、一花。

「あの…」

言おうとして、頭がくらっときた。酔いが回ってきたのかな。なんかグラグラする。

「どうしたの?」

「あ、なんでもないです。ちょっとしつれいします」

席を立つ。少し風にでもあたろう。なんか足元がフラフラする。なんだろう、そんな無茶な飲み方したつもりもないのに。

その時また呼び出し音がなった。出ると、榛瑠の声が聞こえた。

「お嬢様?やはり迎えに行きますのでそこを動かないでください。」

「榛瑠…場所…」

「失礼ながらあなたの居場所は追えるようにしてあるんです。聞こえてますか?」

榛瑠の声が遠く聞こえる。電波状態が悪いのかな…、

「お嬢様?一花?…一花!」

そこから彼がなんと言ったか、もうわからなかった。
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