Room sharE
早速銀行に案内してもらうことにした。
一体冬華は何をそんなに大切にしまっていたのだろう―――
興味と、ほんの少しの構え。危険物などは持ち込めないようになっているが、それでも用心にこしたことはない。そんなことはないだろうが、万が一の為に備えて爆弾処理犯も同行した。
冬華が大事にしていた鍵は、なるほど……貸金庫とピタリと一致した。
慎重な手つきで中身を取り出し、だがそれは予想をはるかに超えるものが入っていた。ある意味爆弾よりも破壊力のある“それ”――――
俺は悦子の前に、その入っていた“もの”を差し出した。
そしてその紙を視界に入れると、悦子も目を開いた。
震える手でその『茶色い』枠で囲まれた“それ”に触れようとして、でも触れることはなかった。まだ証拠品として鑑識用のビニール袋に入っている。
悦子も躊躇うほどの事実。
それは―――
婚姻届けだった。