彩―IRODORI―
あたしがユウジに惹かれてるのは確かだ。
だけど、コウキのことを本気で好きだった時期もあった。
それも確かなんだ。

あたし、コウキのことを怒れない。
自分が先に浮気したからじゃない。

今、あたしがコウキのこと好きだったら、あたしが先に浮気してても、たぶん怒ってたと思う。
相手の女のコのとこに乗り込んで行って、怒鳴り散らしてる。

ああ、これが「愛が冷める」ってヤツか。

なんだか、まだ16なのにそんなことを悟ってしまって、もうオバサンになっちゃったのかな~なんて、ちょっと切なくなった。

チャコは心配そうにあたしを見ている。
チャコは、斎藤クンと仲良くなればいいよ。
あたしみたいにならないようにね。
あたしよりしっかりしてるけど、恋愛に関しては、あたしの方がしっかりしてる。

「チャコ、あたしのことより、斎藤クンとのこと、考えときなよ。応援するよ」

そう言ったけど、やっぱりチャコは複雑そうな顔をしていた。

チャコって、いい子だな。
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