契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
そして、車は別荘地にあるような切妻屋根のログハウスの家の前に着いた。
車から降りた栞は周囲を見回す。
……京町家のご近所さんとのつき合いには閉口してたけど、こないになぁ〜んもないとこもなぁ。
鬱蒼とした雑木林に囲まれたそこは、まるでテレビでやっている「ぽつんと一軒家」のスタッフがロケハンに来そうな景色だった。
「八木さん……初めにお願いしておくけれど、今日先生に会ったことはだれにも言わないでほしいの。もちろん、インスタ等のSNSにアゲたりするのもダメよ。その場合、法的手段をとる可能性があることも覚えておいて」
「わ、わたし……インスタしてませんしっ……絶対にだれにも言いませんっ!」
栞はあわてて弁明した。
インスタはおろかブログも書いたことがない。
学生時代から、ほわっとしてほっとけない雰囲気を醸し出す栞に、話しかけてくる人は結構いて彼らとはそれなりに話は合わせるが、本当に心を開いて親しくなる相手となると、とたんにハードルを高くしてきた。
だから、LINEの「友だち」に登録されている数は三十人いるかいないかだ。
栞の年頃では圧倒的に少ないと思う。
「そう、じゃあ……行くわよ。ついてきて」