契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
二階建てのログハウスの中に入ると、一階部分のほとんどはリビングダイニングになっていて、栞は北欧風のファブリックが張られたソファに促された。
「先生を呼んでくるから、ちょっと待っててくれる?」
しのぶは掛けていたサングラスを外して、ボウタイのシャツブラウスの胸ポケットに刺しながら言った。
……いよいよやわ。
栞が肯くと、しのぶはリビングとダイニングキッチンの間付近にある階段を上って行った。
リビングのコーナーを占めるL字型ソファに腰を下ろした栞は、辺りをきょろきょろと見た。
軽く二〇帖以上ありそうだ。
もし、アシスタントに「採用」されたら、この部屋の掃除をすることになるのだ。残念ながら家事の中では苦手分野だ。
全体的に白木がふんだんに使われた北欧風の内装とインテリアだった。
だが、東京からこの家に移って居を構えるわりには、今座っているソファ以外には目の前のローテーブル、ソファの一角の向こうにダイニングテーブルのセットがあるくらいしか家具類がない。
この家の主人の作家は「ミニマニスト」か、と栞は思った。掃除しやすいのはありがたいが。
そして、隅にはこういう建物には「お約束」の暖炉があった。据え置き型で黒い鋳鉄のクラシカルなデザインだ。
……うーん、めっちゃオシャレやけど、これを掃除するとなったら、ちょっとかなんなぁ。