契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

…… せやけど、たとえ契約が満了になったとしても、あたしには「たっくんをいつまでもつなぎ留める作戦」があるしっ!
それでなんとか「自動更新」に持ち込むか、もしあかんくっても「新規契約」し直すえっ!

持ち前の前向き(ポジティブ)さをフルに発揮して、栞は心の中で(とき)の声を上げた。
その「第一弾」が、あっさりと「不発」に終わったことなどはラララ星の彼方だ。


すると、そのとき……
♪ ピンポーン とインターフォンが鳴った。

「神崎か?……まさか、池原じゃねえだろうな?」

速攻で、神宮寺が苦虫を噛み潰したような顔になる。
栞はあわててインターフォンの受信機(パネル)に駆け寄り、ボタンを押した。
パンツスーツの女性の姿がモニターに映った。

『……神宮寺先生、いつもお世話になります。
華丸百貨店でございます。小笠原が承りましたご依頼の品をお持ちしました』

神宮寺と栞のために結婚指輪を持ってきた、外商部の社員だった。

「あぁ……彼女を寄越したのか。さすが抜かりないな。おれがパーティとか雑誌の対談とかに出る際に、いつも衣装を揃えてもらってる(ひと)だ」

神宮寺もよく知っていて信頼できる人らしい。
栞は安心して【開錠】のボタンを押した。

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