能ある狼は牙を隠す

東奔西走



「そっちビニール手袋足りてるー?」

「この食券なに!? 何でここに落ちてんの!?」


生徒会進行の開祭式が終わり、舞台は各教室。開始一時間ほど経った今、まさに戦場だった。

文化祭初日は生徒や先生のみで、明日は一般公開となっている。
今日でこれだけ慌ただしいとなれば、明日は一体どうなってしまうんだろう。少し不安ではあるものの、準備はしっかり行ってきたので大丈夫だと信じたい。


「あ、白さん! 今この波終わったら休憩行ってきていいよ!」

「うん、ありがとう」


九栗さんがこちらに物を取りに来て、振り向きざまに声を上げる。

男子五人ほどとお金のやり取りをし、食券を渡したところで、カナちゃんと約束通り休憩をとることになった。
あかりちゃんはシフトの時間の都合上噛み合わなかったので、部活の子たちと他の教室を冷やかしに行くらしい。


「もう普通にお昼どきだよねー。先に何か食べようか」


パンフレット片手にぼやくカナちゃんの提案に頷き、私も周囲を見渡す。
ちょうどお化け屋敷をやっている隣のクラスの人と目が合って、ちょっとだけびっくりした。血糊がリアルだ……。


「羊は食べたいのある?」

「うーん……和食が食べたい……」

「和食って」

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