クールなサイボーグ部長の素顔
来週からはきっと影でサイボーグ部長と呼ばれるだろう。

そんな課長が、やはり顔に表情という表情が浮かんでないのに私の隣に来た。

それでも気にせず、やさぐれモードの私はグイグイと飲んでいると、隣から伸びてきた大きな手にジョッキを奪われる。

「高橋、これ飲んどけ。伊月は俺が送ってくから。これ二次会の足しにしろ」

そう言って一番の新人でこの会の幹事の高橋くんに課長は少しばかりお金を渡す。

「伊月、立てるか?」
「まだ、立てますし、歩けますよー!そこまで酔ってらいですもん!」

そう返すと、課長はやや呆れ顔で

「酔っぱらいは、みんなそう言うもんだ」

と言って私の腕を掴んで立ち上がらせた。
一次会はお開きで、二次会にこれから移動のようだ。

「私、まだ飲めりゅもん!二次会いきゅ!」

語尾がおかしくなっているが、まだわりと意識ははっきりしていた。

「二次会はやめておけ。後輩達が気を遣って飲めないだろうが」

そう言われると、言い返せず

「わかりましたよぉ、大人しく帰りましゅ!」

そう言って座敷から出て三センチのローパンプスに足を入れてフラッと立ち上がり、歩き出した私の背を大きな手が支えてくれた。

振り返ってみたのは、無表情がデフォの課長の仕方ないなという苦笑の顔で驚き、酔いも覚めてしまった。
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