クールなサイボーグ部長の素顔
「ほら、準備できたぞ。こっちに来なさい」

なんだか、保護者の様な声掛けをされているけれど、酔っぱらいの私にはそんな事も全く気にならない。

「はーい!夜景綺麗でした!」

にっこにこと話す今の私には、職場のキリッとした姿はどこにもなかった。
お酒でリミッターが外れてすっかり素の自分をさらけ出してしまっていた。

「千波は、景色のいい所が好きだろう?よく会社でも休憩スペースから外を眺めてる」

よく知ってるなと思いつつ

「眺めがいいのは好きです」
「そうか、それならいつ来ても良いし、部屋は沢山あるから住んでもいいぞ?」

すっごい事を真顔で言う。
冗談だよね?
酔っぱらいでもそれくらいは分かりますよ?

「もう、冗談はもっと上手ににこやかな顔して言わないとダメれすよ?」

とニコニコ返す。
うん、私もダメダメだろう。

「うん、今の千波には通じないだろうな。言っとくけど、車を運転してきてるんだから俺は素面だからな?」

それくらいは分かってるのに。
全く今日の課長は何が言いたいのかよく分からない。

「じゃあ、飲みましょ!私の愚痴聞いてくれるんれしゅよね?」
「あぁ、俺にとってまたと無いチャンスだからな。ちゃんと聞いてやる」

ポンポンと頭を撫でられつつ、課長の用意してくれたおつまみとお酒で二次会がスタートした。
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