【長完】Keeper.l
『“あの人たち”がここを手配してくれたからね。……中卒はマズイだろうからって。』
「ふはっ。恩人の手配、ねぇ。結局、ここに通うことしか選択肢はねぇだろ?どこにも受け入れて貰えない
“いらない子” 、だもんなぁ?」
ニヤリと笑う顔。その言葉が、ヤケに耳についた。舌打ちをしたい衝動を何とかこらえる。
ここで反応してしまえば、何か負けのような気がする。
『何回も言わせるな。ここは“あの人たち” が手配してくれたから通うの。
でなきゃ、こんなとこ、通わないわ。
私が “いらない子” ?そんなの、アンタが悪いでしょう?バカとハサミは使いようなんて言葉もあるの。私を使えなかったアナタの愚かさを、私に押し付けないで。』
面食らったような顔をする男をバカにするように鼻で笑った。
「そうやって一生使われる側としているつもりか?」
『自分が頂点に立つことなんて興味ないもの。ただ誰に使われるかは私が自分で決めるわ。今この場所を掴んだように。』
グッと黙った父親に勝ち誇ったように高笑いでもしてやりたくなる。
そう。ここは私のお母さんや、お父さんみたいな人に最低でも高校だけは出ろ、と手配してもらった学校。
だから私は、ここに通う。
それにしても、あんなに酷い事をやらかしたのに“あの人たち”はまだ娘のように思ってくれているのか。
ほんっっと、優しすぎる人達だ。
私の周りの人たちは、優しい。私が気が付かないだけで、いつも手を伸ばしてくれている。
それに私は毎回気が付かない。
いつも、伸ばしてくれているその手を気づかずに、踏みにじってしまう。
それなのに……。
まだ、伸ばし続けようとしてくれるんだ。
私の周りの人は馬鹿みたいに優しいから。
………たまに、物凄くそれが息苦しくなる。
私はそんなに思ってもらえるような価値なんて、無いのに。