【完】放課後、図書室で。
そんな時タイミング悪く本を借りに来た生徒がこちらへ向かってやってきた。
あの子、1年生だ。
内履きのラインが赤色で、年下だってことが分かる。
困った顔してる……。
茅野くん達は気付いてないし。
大きな声で話す周りの人。
時折響く笑い声に肩をすくめる。
注意、私がしなくちゃいけないんだけど。
でもできない。
怖いし、何か言われたら泣いちゃいそう。
でもこのままじゃこの子本借りれない……。
ちらり、下級生の子を見ると。
おどおどして立ちすくんでいた。
声、書けないと……。
「……あ。」
口を開きかけた時、耐えきれなくなったのか。
下級生の子は小走りでこの場を去っていった。
本、借りていかなかった。
どうしよう、読みたかっただろうに。
自分の意気地の無さが嫌になる。
あの子、私に助け求めてたのに。
私何にも出来なかったや……。
自己嫌悪でうつむく。
そんな時、笑い声より大きな声が図書室に響いた。
「お前らもう帰れ。」