【完】キス・フレンド

「広瀬、頭良いわけ?」


「悪い方ではないと思いますよ。掲示板に名前は載りますし。」


「へえ、意外。」


「そんな事言う先輩は頭、良いんですか?」


「常にトップだけど何か?」


「その高スペックが憎たらしいです。」


先輩は先輩で。
噂通り、完璧人間だった。


先輩の話は聞きたくなくても耳に入ってくる。
それくらい女子の話題は先輩で持ちきりだった。


藤川悠斗先輩は頭が良い。
全国模試で名前が載るくらいの実力だと聞いた。
それに運動もできるらしい。


私は運動会をサボっていたから直接的な活躍を目にしていないけど。
リレーの時の悲鳴はすさまじかったらしい。


そして、父親が社長で。
いわゆる、御曹司というやつらしい。


頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群。
それでいて、お金持ちの御曹司。
まるで絵に描いたような王子様。


出来すぎた人間像が少し不気味に思える。
完璧すぎて気持ち悪い。


そう、思ったけど。
きっとその期待の重圧から逃れるように。
こうやってサボっているのだろう。


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