わたしのキャラメル王子様・番外編

「これ、天使をエスコートする天上人って設定なんだって」



「そっかぁ、それでなんだか現実味がないんだ」



浮遊感のある、セピア色の映像を見て納得した。



「でもこのときの俺の頭んなかは煩悩だらけだよ」



「煩悩?」



まさか1日にこのワードをふたりから聞くなんて。



「早く終わんないかなぁ、沙羅何してる頃かなぁ、補講って何すんだっけ?男子に勉強教えて~とか言われたりしてなきゃいいな。今日の晩ごはん何だろ、てか帰って昼寝したいなぁとか」



ふふ、と微笑んで
悠君は私の髪に顔を埋めた。



「ここに戻ってくるために毎日頑張ってるつもりなんだ、これでも」



悠君が肩に頭を預けたとき、私のなかでなにかが弾けたような気がした。


< 115 / 141 >

この作品をシェア

pagetop