彼は私の全てだった
シュウの部屋はプラモデルがいっぱい並んでて
男の子らしい部屋だった。

私はシュウの勉強机の前の椅子に座り、
シュウはベッドに座った。

「どうしたの?何か困ってる?」

私は何と言ったらいいか悩んだけど
シュウに不快な思いをさせたくなくて正直に話すことにした。

「あのね、小泉くんが悪いわけじゃないの。

実は小泉くんのこと好きな女の子たちが
私と小泉くんの仲を誤解してるっていうか…
とにかくヤキモチ妬いてるの。

だから…小泉くんは私なんかと仲良くしない方がいいかなって…」

そう言ったけど…それはすごく卑怯な言い方だった。

シュウはそれをわかってるみたいに
私をジッと澄んだ目で見つめた。

私は本当の気持ちをシュウに話そうと思った。

シュウなら受け入れてくれそうな気がしたから。

「ごめん…本当はそれだけじゃないの。

私が…その子たちに誤解されて色々言われるのが怖くて…ごめん、私…中学の時も…クラスの女の子たちと上手く行かなくて…

だから…小泉くんと距離を置きたいの!」

私はシュウと目を合わせられなかった。

自分のことを意気地なしで恥ずかしいと思ったからだ。

だけどシュウはその事を責めなかった。

優しい笑顔でこう言ってくれた。

「俺、柿沢と距離置くなんて嫌だな。」

「え?」

「もっと仲良くしたいって思ってるのに…

たかがそんな事で離れるなんて嫌だ。」

「たかが?

小泉くん、私には重要な問題なの!

また一人になるのが怖いの。」

そう言うとシュウは私の事を見つめて言ってくれた。

「一人にしない!

俺がずっと柿沢のそばにいて、お前の事守ってやる。

それじゃ…ダメかな?」

思いも寄らないシュウからの告白で私たちは始まった。

私はその日、シュウと初めてのキスをした。

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