彼は私の全てだった
結局、被疑者死亡のまま捜査は打ち切られ
本当のことは報道すらされなかった。
世間は犯人の男が追い詰められて
婚約者のいる彼女を無理矢理連れて逃げ、
逃亡の末の無理心中という形でおさまった。
しかしその事件もすぐに誰も気にしなくなって、
覚えているのは当事者の周りの一部の人間と
事件を担当した瀧川だけだった。
結局、女が望んだとは言え、
小泉柊は愛する柿沢ミチルの首に手をかけた。
行為中の行き過ぎた行動の延長だったのかもしれないが
手首を結んでいたことで最初から小泉柊は柿沢ミチルを殺すつもりだったんだと瀧川は思った。
心中するという選択が彼女にとっては最高の終わり方だったとその時は思ったのかもしれない。
だけど死んだらそこで終わりなのだ。
誰にも2人の愛など理解してもらえないまま
弁解することもできず
結局は不本意な形で締めくくられてしまった。
そして2人の遺体は
手と手を結んでいたコードを解かれ
別々に火葬され
最後は違う土地で眠る事になった。
それでも小泉柊の書いた手紙を両親が引き取って彼女の棺の中に入れてあげたそうだ。
手紙は彼女に読まれることは無く
10年もの小泉柊の想いは柿沢ミチルの遺体と共に
永遠に葬られてしまった。
「あんな手紙…読むんじゃなかった。」
やるせない気持ちで捜査を終えたこの2人の死は
瀧川にとって何とも後味の悪い事件となった。
今世で悲恋に終わるしかなかったが
2人は来世にかけたのかもしれない。
「生まれ変わって一緒に幸せになれよ。」
そう言って瀧川は捜査ファイルを綴じ、
解決済の箱にいれた。
時は数十年後…
彼女は隣の席に座る学園のヒーローに恋をしている。
彼の周りはいつも沢山の女の子が居て騒がしい。
「ごめん、いつもうるさいっしょ?」
日に焼けてるせいか笑うと真っ白な歯が印象的だ。
彼女はその半年後、彼と一生に一度の恋に堕ちる。
彼の前世は犯罪者。
愛する女を連れて逃げ最期はその女の首に手をかけ自殺した男である。
彼女の前世はその被害者。
愛する男が全てで彼を献身的に愛し最期は彼の手によって殺された女である。
〜彼は私の全てだった〜
完
本当のことは報道すらされなかった。
世間は犯人の男が追い詰められて
婚約者のいる彼女を無理矢理連れて逃げ、
逃亡の末の無理心中という形でおさまった。
しかしその事件もすぐに誰も気にしなくなって、
覚えているのは当事者の周りの一部の人間と
事件を担当した瀧川だけだった。
結局、女が望んだとは言え、
小泉柊は愛する柿沢ミチルの首に手をかけた。
行為中の行き過ぎた行動の延長だったのかもしれないが
手首を結んでいたことで最初から小泉柊は柿沢ミチルを殺すつもりだったんだと瀧川は思った。
心中するという選択が彼女にとっては最高の終わり方だったとその時は思ったのかもしれない。
だけど死んだらそこで終わりなのだ。
誰にも2人の愛など理解してもらえないまま
弁解することもできず
結局は不本意な形で締めくくられてしまった。
そして2人の遺体は
手と手を結んでいたコードを解かれ
別々に火葬され
最後は違う土地で眠る事になった。
それでも小泉柊の書いた手紙を両親が引き取って彼女の棺の中に入れてあげたそうだ。
手紙は彼女に読まれることは無く
10年もの小泉柊の想いは柿沢ミチルの遺体と共に
永遠に葬られてしまった。
「あんな手紙…読むんじゃなかった。」
やるせない気持ちで捜査を終えたこの2人の死は
瀧川にとって何とも後味の悪い事件となった。
今世で悲恋に終わるしかなかったが
2人は来世にかけたのかもしれない。
「生まれ変わって一緒に幸せになれよ。」
そう言って瀧川は捜査ファイルを綴じ、
解決済の箱にいれた。
時は数十年後…
彼女は隣の席に座る学園のヒーローに恋をしている。
彼の周りはいつも沢山の女の子が居て騒がしい。
「ごめん、いつもうるさいっしょ?」
日に焼けてるせいか笑うと真っ白な歯が印象的だ。
彼女はその半年後、彼と一生に一度の恋に堕ちる。
彼の前世は犯罪者。
愛する女を連れて逃げ最期はその女の首に手をかけ自殺した男である。
彼女の前世はその被害者。
愛する男が全てで彼を献身的に愛し最期は彼の手によって殺された女である。
〜彼は私の全てだった〜
完


