彼は私の全てだった
「犯人の男は昔の部下でしたよね?

2人はその当時どんな感じでしたか?」

中村は少し怒った様子で話し始めた。

「小泉柊はいつも彼女を突き放してました。

でも彼女はどうしても彼が忘れられず…
ずっと傍に居たんです。

私と交際する手前まで行っても
結局彼を選んだ。

それなのに3年前、彼は突然また彼女の前から姿を消したんです。

死んだと思って彼女はおかしくなりそうだった。

何とか励まして、やっと幸せを掴みかけた頃
彼が犯罪者になっても生きてたことを知り、
彼女はまた動揺し始めました。」

「あなたは彼女が小泉柊に殺されたと思いますか?」

「メールが来たんです。

彼に拉致された後に彼女から。」

中村が胸の内ポケットからスマートフォンを取り出して瀧川に渡した。

「あなたも単なる殺人ではないと?」

「読めばわかります。」

瀧川はスマートフォンを受け取って読み始めた。

彼女はただ申し訳ないと何度も謝っていた。

そして最後にありがとうございましたとお礼の言葉を綴っていた。

「どうもありがとうございました。」

「拉致したわけでも強姦殺人でも無いと思います。

きっと彼女はそんな風に彼が扱われることを望んでないでしょう。

2人は一緒になりたくてこの道を選んだんです。

彼女にとって彼は全てでした。

全身全霊で愛してたんです。

どんな時も…愚かにもずっと彼女は彼を愛してた。」

そして中村もまた瀧川の前で涙を零した。

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