ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
暑いってどうやって判断してるのか。

「暑いって判断は、天気とか、周りの状況から?」

すると所長が首を振った。

「いーや。ミライはちゃんと温度センサーで暑さを感じてるよ」

所長の言葉の最後にピンと来た。

(感じてるのか…)

何かが僕の中でウズいた。

「暑いってコトは感じられるんですね、ミライは」

「…ウンそう、確かにミライは、暑いって事は感じてる」

だとすれば。

「感情だって感じられるんじゃないですか?温度みたいに、嬉しさをセンサーみたいなもので!」

と、所長がパッと向き直った。

「でも、それってどんなセンサーだい?」

ポツリと呟く所長。

「え…」

答えに困った。

(嬉しさを測るセンサー、か…)

考えたら、一体何を尺度に嬉しさが測れるんだろう。

「…ないですよね、そんなセンサー」

思わず溜息。

(そんなに上手くはいかないか…)

考えが甘いなぁ。

「…」

と、所長が遠くベランダの外を見つめたままじっと考え込んでる。

「?」

タバコを挟んだ指を口元にあてがったまま固まって、ピクリとも動こうとしない。

「所長?」

横から覗き込むように問い掛けると、所長の口がフッと動いた。
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