ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
(くるぞ)

伸び上がった身体が、ゆっくりと元に戻っていく。

(戻って来るんだ、『みらい』が!)

これまでの苦労と思い出、そしてこれからの『みらい』が戻って来るんだ!

やがてミライが、瞼をゆっくりと開けて僕を見つめた。

「…これから、また一緒ね」

微笑むミライ。

「ああ…」

抱き寄せながら笑顔で見つめた。

少し目が潤んでるみたいだ。

「もう離れなくていいよ」

今日からまた、ふたりで一緒に暮らせる。

「うん」

微笑むミライ。

今までたくさんの笑顔を見てきたけれど、こんなに幸せそうな笑顔はなかなか無いよ。

「うれしいよ、ミライと出会えて」

色々あった分、余計にそう思うよ。

「私も。あなたと出会えて、とってもうれしい…」

ミライが僕の胸に頭をうずめてきた。

(僕に会えて、うれしい…)

両腕でそっと、包み込むようにミライを抱き締める。

じんわりと胸の中にあたたかな温もりが広がってくる。

ミライが感じてるんだ。

(ミライのココロが、感じてる)

あたたかな温もりの中に生まれた、新しいココロが、僕に感じてるんだ。

「…ひとつ、聞いてもいいかな」

「なあに?」

「再起動して、初めて僕を見た時、なんて思った?」

ダンロでの所長の疑問の言葉を思い出して、聞いてみた。

「フフッ…」

顔を上げて一瞬、照れてみせるミライ。

「あなたの笑顔が見たい」

微笑むミライ。

「そうか」

ミライのココロが、そう感じてるんだ。

「いつでも笑顔でいるよ」

降り続く紙吹雪の中。

そっと顔を寄せて、唇を重ねた。
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