ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「さあ、ミライの永遠のパートナーになってあげて下さいよ」

微笑む本田君。

(永遠のパートナーか)

これでもう、ミライが離れる事はないんだな。

「ああ」

頷いてミライの前に立って瞳を見つめる。

と、ピクンと動くミライ。

「虹彩登録。確認しました。続いて名称設定に入ります。管理者の名前をどうぞ」

ミライの声に、自分の名を呼び掛ける。

「名称設定。確認しました。続いて、私の名前をどうぞ」

問い掛けてくる声。

一呼吸置いて、力強く答える。

「ミライ」

「名称設定。確認しました」

良かった。

これで、ミライを名実共に取り戻せたんだな。

じんわり喜びが込み上げてくるよ。

「指示をどうぞ」

と、ミライが問い掛けてきた。

(ん、)

次の指示は、

「所長、ノーマルモードで再起動、でいいんですよね?」

振り向いて尋ねる。

「もちろんさ」

微笑んで返してくる所長。

頷いて返して、ミライに向き直る。

「ノーマルモードで再起動」

「はい、ノーマルモードで再起動ですね」

「YES」

「ノーマルモードで再起動に入ります…」

一瞬の沈黙。

やがて身体を小刻みに震わせ始めたミライが、瞼を閉じて、飛び立つかのように上を向いてクッと宙に伸び上がった。
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