このカラフルでモノクロな美しい世界
「行ってきます」

そう言って僕は家のドアを開ける。

ドアを開けると横にある灰色の車
綺麗に形を整えられた少し薄い黒の木々
可愛らしい白に限りなく近い灰色をした雀
先程まで降っていた雨が嘘のように綺麗のであろう黒い空
空にはうっすらと色の違う線が入っている
雲かもしれないがとても太い線で色が少しだけだかグラデーショになっているからもしかしたら虹かもしれない

一ヶ月前から通っている高校の制服にもやっと慣れてきた、黒い色の制服には灰色のネクタイがとても良く似合っている

僕がいつも見る信号の色は灰色と黒の二色
その隣にあるのは黒と灰色、そして白に近い灰色の三色
今信号は灰色 いや、これを別の色だという人もいるが僕からしたらどちらも同じだから関係ない
僕は白と黒の線が引かれた横断歩道を渡る

少し下を見ていた
危ないという声が聞こえて前を向いた
目の前には見たことのない色があった

遅く歩きすぎだという声が聞こえた気がしたが関係ない
今はこの綺麗な景色を眺めていたい

初めて景色を見て綺麗だと思った
それが景色ではなかったとしても



初めて世界がモノクロじゃなくなった
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