いつまでも君と
「ねぇ、るい?」

少し間をあけてからゆうは私を呼んだ。

「ん?」
私は、ゆうの真似をして首を傾げて見せた。
本人にばれないように…少し恥ずかしさを隠した仕草。


「君は、生きるよ。」


突拍子もないその言葉に室内に吹くはずのない秋の風の匂いがした。

「え…どういうこと…」
私は、そう呟いた。

一気に信頼から不信感へ変わったそれは、私の病気のことはこの学校では教職員や保健の先生しか知り得ない情報だという事実からきていた。

「ごめん…僕、実は」
何かを話そうと開いた口をゆうは途中で止めてしまった。
その口は二度と開かないのではないかというくらいに固く閉ざされてしまったように感じた。


"これ以上聞いてはいけない"
そう直感で感じた私は、聞き返すこともせず踵を返して目的地もなくその場を立ち去ることを選んだ。
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