いつまでも君と
どれくらい歩を進めたのだろう。
どのくらい時間が経ったのだろう。

分からない。
大袈裟かもしれない。

でも、私は世界一周をしてしまったのではないかというくらいの情報量で頭が埋め尽くされていた。

現実は、いつもとは違う賑わった校舎も気にならないほどグルグルと廊下を巡っていただけなのだけど。


「るっちゃん?」
今、聞きたくない。

直感で、そう思い気付かないふりをして環奈の前を素通りした。

「ちょっ…るっちゃん!無視めっ!」

無論。気付かないふりなんて、高校生活を共に過ごしてきた友達の前では通用しなかった。

ムーッと、可愛く頬を膨らませた環奈の目が少し潤んでいるように見えた。

『ごめん…環奈。』
言いたかった言葉は、頭の中で浮かんでクラゲのように水に溶けるように消えてしまった。
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