いつまでも君と
そうして過ごしているうちに季節は秋に移り変わろうとしていた。

なんでだろうか…
毎年見ていた落ち葉は、未来の私を見せつけてくるようで嫌気がさした。
あんなに嫌だった夏の暑さより苛立つ感情が私の中に芽生えた。


「るっちゃん、もうすぐ漫画の新刊がでるね」
環奈はある日を境に変わってしまった私にもいつものように毎日接してきてくれた。

それだけが、救いだったのかもしれない。


父と母は、病気を告知した日から私と同様ガラッと変わってしまった。
心臓に良い食事、心臓に負担にならない生活、心臓に…
両親といると、嫌でも心臓のことを考えさせられた。
私のためにやってくれてることだって分かっているでも…


ごめんね、かあさんとうさん。
今は嫌で嫌で仕方ないよ。

今は私の病気を何も知らないただただ訳もなくずっと落ち込んでる私を励ましてくれる環奈が一番の心の拠り所なんだ。


「環奈…ありがとうね」
「なによー改まって!あっ、さては新刊奢らせる気だなー??」
「違うよーっ」

ニヤニヤする環奈に思わず笑みがこぼれた。
でも、あの日から私は口を大きく開けて声を上げて笑うことはなくなっていた。
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