【短】おにぎり

「圭は真面目だよな。ほんと。大学入学したばかりなのにこんな時に遊ばなくていいのか。一回ぐらい休んで俺たちと遊ぼうぜ」

 授業が終わった後、大学の友人が軽そうなリュックを背負って聞いてきた。

「今日はやめておくわ。誘ってくれてありがとな」

 頬杖をつきながら俺は右側にいる友人に申し訳なさそうに言った。

「…分かった。またな」

友人は苦笑いを浮かべて左手を出して帰っていた。俺は大学の友人に真面目だとよく言われる。

だが、それは真面目という自分を取り除いたら俺の個性はない気がしたから。

大学の友人とつるんではいるが、接し方や笑い方で俺のこと好きじゃないって分かる。

俺なんてどうでもいいと言っているように。

生きる意味ってなんだ。
そのまま俺は席に座ったまま空を眺めた。

 飛行機はいいよ、高い所にいて。知らない世界に行っているみたいだから。

 すると、ブゥブゥと携帯のバイブ音がした。  
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