かわいくないキミ
かわいくないキミ
「ってか、本当にウチの会社の名前ダサいよね」


彼女が愚痴りだすと毎回最初に言うセリフがこれだ。
入社して4年。
俺としては気に入っているウチの社名を、目の前でビールを美味しそうに飲む彼女は気に入ったいないみたいだ。

「俺は愛着湧いてるけど。自分の会社だし」
「じゃあ、杉野の取引先がこの名前でもダサいと思わないの?」
「そりゃ、大事な取引先の社名がダサいなんて死んでも思わないよ」
「そーだ、そーだ。杉野はそんな男だった」

聞いた私がバカだった、そう言いながら、彼女はまたジョッキを口元に近づける。

「今日ペース早くない?」
「んー?そうかな?いつもと一緒だけど、あっ、真一くん!おかわり」
「やっぱり早いじゃん。昨日も酒飲んだんでしょ」
「昨日は接待だし。あんな気使ってお酒飲んでも楽しくない」
「そーだ、そーだ。お前はそんな女だった」
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