りせい君の理性が危うい瞬間





ムカつく。


どこまで私をバカにすれば気が済むんだろう、この男。



「やっ、やめてよ。
 利生君のそういうとこほんと嫌い」


こっちはキスだけでいっぱいいっぱいなのに。


利生君の何事もなかったかの様な余裕ある態度に腹が立つ。



無視を決め込もうと、日誌に目を戻しシャーペンを再び真っ白な紙に滑らす。



「なに、また怒ってるの羽子」


「……」


「羽子カルシウムもっととったら?
 そんな怒ってばっかだと、いつか血管切れちゃうんじゃない?」



誰のせいだ!


心の中でツッコミしたって、そりゃあ利生君には伝わらない。


だけど書くこと特にない日誌を、あることないこと書いて終わるまでは……絶対に利生君に反応してやらない。


そう決めていたのに。



スルッと後ろから、利生君の手が伸びてくる。


優しく、包み込む様に私に影を落とした利生君は



次の瞬間。







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