それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「神崎」



お昼頃、健ちゃんがお店に入ってくるきて、カウンターに座る。



「お疲れ様」



灯ちゃんが健ちゃんの前に水を置く。



「日替わりで」


「いつものでしょ」



灯ちゃんが健ちゃんに笑いかける。



「亜実、灯の料理めっちゃうまいから。俺には負けるけどな」


「今日亜実ちゃんに決めてもらうもん!作ってくるね」



ぷうっと頬を膨らませる灯ちゃんは、さっきまであたしと話していた灯ちゃんとは別人で。
好きな人の前の顔をしていた。



「健くん!やっぱりここにいた!」



来客を告げるベルと同時に息を切らした女の人が入ってくる。



「美智(みち)さん!どうしたんすか!」



健ちゃんがイスから立ち上がる。



「打ち合わせしようと思ったんだけど……」



あたしが健ちゃんと話していたからだろう、あたしに目を向ける。



「あ……」



あたしに目を向けた顔をみて、あたしからはそれ以上の言葉は出ない。

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