母へ。
父はタクシードライバーをしていた。
それでもオカン、兄弟5人を養うには
給料は追いつかず、苦労していたという。

入浴は大抵、父の仕事。
お風呂まで行くには、玄関から外に出て家を回り込んだところにある。
つまりは、兄弟の寝室の裏側辺りにある。

その記憶もまた薄れているが、
小さいからだながらも寒かった記憶は残っている。

どのような理由があってかは不明だが、
アパートへ引越しをした。

そのアパートは、小さな工場と家が立ち並ぶ所で、坂の上にあった。
トラックはすぐ真横を通るくらいの坂道で、
慣れてしまえばすぐ隣にトラックが走ってきても、
びっくりも恐怖も無かった。
砂埃も当たり前のように浴びていた。

アパートへ引っ越してきた当日。
オカンが働いていた鉄工所の同僚家族も
手伝いに来てくれていた。

当時は中学生と小学生だった兄3人と
同僚家族の子供達(お姉さんと弟)は
荷物を運ぶ手伝いをしながら、
まだ何も手伝うことが出来ない4歳の私の相手をしてくれていた。

でも私も何かしたい。
そう言っても聞き入れてくれなかったオカン。
しかし、父は私に甘い。
『じゃあこれ潰してて。』
仕事を貰えた私は大いに喜んで引き受けた。
・・・陶器などを守るプチプチを潰す仕事。

これ・・・仕事?笑

今思えば、ただおもちゃを与えられて大人しくなった子供やん。笑

それでも子供は素直。
すごい喜んでやっていた記憶がある。
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