たまゆらなる僕らの想いを


「おはよう、猫さん。それ、暖かそうだね」


きっと、八雲君が用意してくれたのだろう。

ニットのセーターのようなものに包まれた子猫は、答えるようにニャーと可愛らしい声で鳴いた。

でも、よく見ると子供のサイズにしては大きくて、誰のものかと心配になっていると、背後の茂みがガサリと音を立てる。

もしかして八雲君が来たのかと思い振り向くと。


「……えっ?」

「……君は」


みなか屋の旦那さんが少し大きめのダンボールを抱えながら、目を見開き私を見て見下ろした。

旦那さんがなぜここにと思ってから、その手のダンボールの用途を想像し、焦る。


「え、この子をどこかへ?」


誰か飼い主が見つかって運ぶのかもしれない。

それなら子猫は飢えず、温かい家で過ごせるから嬉しいことだけど、八雲君は悲しみそうだと考えていたら。


「いや……来週、雪の予報が出てるから、しのげるものをと、思って」


それでダンボールを……。


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