たまゆらなる僕らの想いを


語り終えて、ヒロは苦しさを逃すように息を吐く。


「事故直後、俺のせいだと思った。立ち止まらなければ、タイミングがズレてナギが轢かれることはなかったって。でも、ナギの責任感のなさが、俺には許せなかった」


正直、今でも許せない。

でも、ナギが残した居場所がないって気持ちを汲み取れなかった自分も許せない。


「小さい頃、ひとりだった俺に居場所を作ってくれたナギに、俺は何も言ってやれなかった」

「ヒロ……」


そうか。

ヒロもまた、ナギを支えにしてきたひとりなんだ。

苦手な性質の違いはあれど、人付き合いが得意じゃないヒロも私も、ナギという居場所に救われていた。


「ヒロ……話してくれてありがとう」


お礼を告げると、ヒロはゆるゆると頭を振る。


「お前がナギに会いたがってるの知ってたのに、ずっと黙ってて悪かった」


ヒロの謝罪に今度は私が首を横に振ってみせた。

そうして、私たちは面会時間ギリギリまで、ナギの様子を見守って。

明日こそ目覚めることを願いながら、病室の扉を閉めた。










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