たまゆらなる僕らの想いを
電車に揺られ、手すりに掴まりながら車窓の向こう眺めて、そういえばと昨夜ヒロからもらったメールを思い出した。
『クリスマスプレゼント送るから、明日楽しみにしてろよ』
まさか贈り物をしてもらえるとは思わず、何も用意してない私は焦って私からも何か送るよと欲しいものを聞いたんだけど……。
結局、いらないと断られてしまった。
そうは言われてもお返しはしたい。
とりあえず今頃家に送られているだろうプレゼントを見て返す品物を考えよう。
何かお返しのヒントになるように会話はあっただろうかと、彼とのチャットルームを遡っていると、先月の会話が目に止まった。
ナギの意識はまだ戻らず眠ったままだという内容のものを。
でも、危ない状態になることはあれ以来一度もないらしく。
『あいつ、神社のこととか面倒で起きたくないんじゃないのか』
冗談交じりにヒロが言っていたのを見て、私はそっと口元を綻ばせた。
目覚める保証も、死なない保証もない。
御霊還りの社で、ナギはそう話した。
でも、生きたいとも言っていた。
だから、彼は今、生きてくれている。
それはとても嬉しいことだけど……。
「ナギに、会いたいな」
静かな住宅地に零した声が溶けて消える。