次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「召使いに服を持ってこさせますから、セドマもお着替えになって! 入浴もできるように言っておきますわ」
グラシナはにこやかにセドマへとそう告げたのち、がしりとリリアの手を掴み取った。
「リリアは私と一緒に、ね?」
「グラシナ様!?」
楽しそうに歩き出したグラシナに引っ張られ、リリアも腰が引けたまま前へと進み出す。
このままついて行って大丈夫かと不安いっぱいで振り返るが、セドマは苦笑いを浮かべているものの、全てを受け入れるしかないと諦めた様子でその場から動かない。
相手は王女だ。逆らい怒りを買うような事態に陥れば、命が危うくなるかもしれない。
リリアも覚悟を決め、グラシナと共に部屋を出たのだった。
そこからリリアの時間は慌ただしさと共に過ぎていく。
グラシナの一声で、まずリリアは部屋の外で見張りをしていた召使いの女性に浴場に連れて行かれることとなる。
気恥ずかしくて断り続けるも、入浴場で待っていた女性たちから手慣れた様子で身体を洗われ、そして浴場を出た後もまた、急かされながら支度部屋へと連行される。
グラシナの嬉しそうな声が響く中、女たちの手によってリリアは着飾られていった。