次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「リリア、とっても似合ってますわ! とってもとっても可愛い!」
「そ、そうでしょうか? ありがとうございます」
「お兄様も惚れ直すに違いありませんわ!」
支度部屋から廊下へと出ると、リリアは髪飾りにそっと触れながら、先ほど鏡越しに見た自分の姿を思い返した。
身にまとっているのは、グラシナが用意させた滑らかな肌触りをした淡い紫色のドレス。
耳の上に添えられた花の髪飾りはドレスと同じ薄紫色で、少し小ぶりではあるが同じものが靴の飾りとしても使われている。
憧れはあってもこんなに華やかなドレスを着たことはこれまで一度もなかった。
そのため嬉しくはあるのだが、襟ぐりが深く開いた形になっていることもあり、肩や首回りの素肌を大きく晒しているのがとても恥ずかしかった。
しかし、回廊で見かけた花嫁候補の女性の方が、胸のふくらみが際立つほどにもっと際どいところまで広く開いていた。
あくまで自分が着慣れていないだけでこれくらい普通の事なのだろうと、リリアはなんとか気持ちを落ち着かせようとする。
「お兄様はもうテーブルに着いていらっしゃるみたい。私たちも早く行きましょう!」
「はい!」