次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「人を呼ぶ。しっかり手当てをしてもらえ。分かったな?」
オルキスに優しく笑いかけられたことにセルジェルは胸を詰まらせ、母と同じ言葉でも胸に響く温かさの違いに涙をこぼした。
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「皆さま騙されてはいけません。この者は運命の乙女などではない! 大罪人だ!」
大広間へと足を踏み入れて早々、エルシリア王妃が声高に語りかけた。
オルキスとリリアの姿が見たくて集まった客人たちや、高座に設けられた席に既に腰を下ろし、セドマとアレフのふたりと話をしていた王様も、唖然とした顔で王妃に注目する。
オーブリーが担ぎ持っているのは女性だと人々が気づき始めると、場が騒然となっていく。
床へと粗雑に降ろされた女性を見て、セドマは顔を強張らせた。
「リリア!」
叫ぶと同時に駆け出すが、リリアまであと少しの所でふたりの近衛兵が行く手を塞ぎ、セドマへと槍の穂先を向けた。
セドマを慌てて追いかけてきたアレフも同様に穂先を付きつけられ、足止めをくらう。
「どういうつもりだ」
「セドマさん、アレフさん。すみませんが命令ですので」
近衛兵が言う命令は誰からのものかは明らかで、セドマはぎっと王妃を睨みつけた。