次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
マルセロはどうしたらいいのか分からない様子でオロオロし、王様だけは表情をなくしたまま、いまだ動けずにいた。
「待て!」
鋭い声音が飛び、騒々しかった室内が静まり返っていく。
颯爽とした足取りで、オルキスが騒ぎの中心へと歩を進めていく。そして床の上でぐったりと横たわっているリリアを視界に捕らえた瞬間、拳を握りしめた。
「……リリアから手を離せ」
「なりませぬ、オルキス様……この者は、あなたを落とし入れようと」
リリアを担ぎ上げようとしていた近衛兵が説得するかのように言葉を並べていくが、オルキスの冷たい眼差しに射貫かれ、口を閉じた。
「離さぬと言うのか?」
言うと同時に、オルキスが飛ぶように人々の間を駆け抜け、そして引き抜いた剣を近衛兵の首を掠めるように振るった。
「だったら、死あるのみだ」
近衛兵は顔を青ざめさせ、その場で腰を抜かす。
鮮やかさにひとり歓声をあげたアレフとずっと顔をしかめていたセドマもほぼ同時に剣を抜き去り、自分たちの行く手を遮っていた近衛兵ふたりへと切りかかっていく。
「しっかりしろ! リリア!」