次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

オルキスとお揃い。捉え方を変えただけで、疎ましく感じていた髪の色が少しずつ特別に思えて来て、リリアは笑顔になる。


「そうね。もうしばらくお揃いを楽しんでおくことにするわ」


改めて自分の髪へと視線を落としたリリアと、その言葉に笑みを浮かべたオルキスを交互に見やって、ボンダナもうっとりとした顔で自分のぼさぼさの髪を撫でつけた。


「わたしも黒く染めて、オルキスとお揃いにしようかの」

「しなくていい」


オルキスに冷たく言い放たれ、ボンダナは「お前さんはやっぱりつれないのう」とわめき始めた。終いにはあてつけのように弟子になれとリリアを勧誘し始める。

足下に置いておいた籠の中から取り出した雑草をテーブルに並べて、事細かに効能を説明し始めたボンダナへとオルキスが冷たい眼差しを向けたことでアレフが笑い出し、またテーブルが賑やかになっていく。

ボンダナはまだ庭園の奥にある物置小屋で寝泊まりをしている。リリアが完全に良くなるまでは、そこで薬を作り続けるつもりなのだ。

薬を持ってリリアの部屋を訪ねては、今まさに目の前で繰り広げているように、ボンダナは様々な知識を言葉にする。

もちろん薬草以外の話もふたりはしている。


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