コスモス
タイトル未編集

彼は私の初めてのバイト先での社員さんでした。




最初はなんとも思わなかったのですが、すごく優しくて面倒見のいい彼をすぐ好きになりました。

時間が経ってゆくにつれその気持ちも大きくなり、それが少しずつ態度に出てしまっていました。



仕事中目があってあからさまに目をそらしました。




ふんふーん♪って感じで口を突き出して上の方に目をそらした時はやっちまったと思いました。

仕事中フォローしてくれるめっちゃ優しい



お客さんにからかわれている姿めっちゃ可愛い


ちょっと近くを通る時大きめに息吸って彼の匂いを嗅ぐめっちゃいい匂い


私、変態…



と思う時もありました。

でもそれもすごく楽しくて彼を純粋に好きだと思っている時は毎日とても楽しかったです。




ある日、他のスタッフさんに


『彼、カッコウちゃんのことめっちゃ可愛いって言いよったよ!』



と言われました。








オウオウオーウ…



めちゃくちゃ嬉しい。

自分の知らないとこで褒めてくれてるとかめちゃくちゃ嬉しい。



しかも可愛いて言われてる…目の前で言われたい。声も好きだし。











でも、その後すぐに彼に彼女さんがいることを知りました。


他のスタッフさんと彼が話してるのを横で聞いてしまいました。



彼は



『お金がたまれば結婚しますよ。』って、


ただの彼女じゃなくて婚約者なんかい…。









めちゃ悲しい…。


彼女の存在とか全く考えてなかったので、ショックは大きかったです。





よく考えてみれば、彼20後半だぞ、いるだろ。結婚を考えるくらいの彼女。





しかもじぶん、まだ10代…。年の差とかいろいろ…相手にされるわけないやん。





それから、彼に対しての私の態度が少し冷たくなってしまいました。



彼もあまりかまってくれなくなりました。







毎日全然楽しくなくて、楽しくなくて。






それからちょっと経って、謎のモテ期到来。
一緒に働いている1人のスタッフさん、もう1人はお客さんと立て続けに告白されました。








全く嬉しくない。

好きでもない男に好かれたって面倒くさいだけなんですな。






告白されるところを彼は見ていました。





最近話してなかったのに、その時はすぐ寄ってきて、



『どうしたん?なんか言われたん?』


「いや、なんか告白みたいです。」


『どうすんの?それ嬉しい?』


「いや、嬉しくはないです。彼氏がいるって言いました。」






『……。え?』






話をする時は周りがうるさいのでかなり2人の距離は近くなります。なので一瞬戸惑った顔がよく分かりました。






『カッコウさん、彼氏おるん?』


「いませんよ。諦めてもらうために嘘つきました。」


『あぁ…、頭いいね。実際はいない?』

「そです。」




近いからか彼の匂いが前より強く感じました。相変わらずいい匂い。洗濯機に顔突っ込んで息してるみたい。





会話はこれで終わり。









でも、なんか会話は終わったのに目はあったままで、もう話すことないの距離は離れなくて、







「ん?」



なんでもない顔をしてしまいました。






『いや、…モテるね。』


「はは。…」



会話が本当に終わり、また話す機会がないまま時間が経ちました。

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