惚れ薬
「うん。だけど今日見て見たらもうお店がなかったんだよね」


「うそ、なんで!?」


「わかんない。でも、プレハブ小屋を持って来ただけのお店だったから、各地を移動してる占い師だったのかも」


そう言うと、初美は明らかに落胆した表情を浮かべた。


がっくりと肩を落としている。


「初美にもなにか悩みがあるの?」


「そりゃああたしにだって悩みくらいあるよ。そろそろ彼氏も欲しいし」


そう言って大げさにため息を吐き出した。


「今度見かけたら初美にもすぐに教えてあげるから」


初美の髪の毛を撫でてあたしはそう言ったのだった。
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