惚れ薬
ピンク色の綺麗な液体。


可愛い天使の絵。


恋のキューピットという意味合いなんだろうか。


『いりません!』


そう言って突き返そうと思ったのに、あたしの手は小瓶を握りしめたまま離さない。


無料なら持って帰ってみてもいいかもしれない。


使う必要なんてない、ただインテリアとして飾っておけばいいだけだ。


自分への言い訳が次々と浮かんでくる。


あたしはチラリと店員さんを見た。


相変わらず笑顔を向けられている。


「……お金は払いませんから」


あたしはそう言い、小瓶を握りしめて店を出たのだった。
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