惚れ薬
☆☆☆

夢を見ていた。


それはとても幸せな夢。


あたしと航が手を繋いでデートをしている夢だった。


どんな会話をしていたのか覚えていないけれど、あたしも航もずっと笑顔だった。


ずっとずっと続いてほしい夢。


けれど、無情にも朝はやって来る。


スマホのアラーム音が鳴り響き、あたしの夢は強制的にシャットダウンされた。


エンドロールさえ見せてもらえないことに苛立ちを覚えて、乱暴にスマホのアラームを切った。


「せっかくいい夢だったのに」


ブツブツと文句を言いながら制服に着替える。


鞄を手に取った時、昨日の小瓶の事を思い出した。
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